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『歯周病』で罹患リスクが増える?意外と知らない歯周病と関連する疾患

『歯周病』で罹患リスクが増える?意外と知らない歯周病と関連する疾患

歯周病について聞いたことがないという人はほとんどいないかと存じます。 "史上最大の感染症"としてギネスブックにも認定されている歯周病は、どの人にも身近な存在となっています。
実はこの歯周病、意外な疾患の罹患リスクを増加させる原因の一つになっていることが判明しています。

今回は、歯周病ならびに、歯周病に関連する疾患についてご紹介します。

歯周病とは

歯周病とは

歯周病は口内の細菌感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう疾患です。
自覚症状として歯ぐきの腫れなどが挙げられますが、痛みはほとんどなく気がつかないうちに感染している可能性が高くあります。感染ルートは主に、唾液感染とされており、飲み物の回し飲みや一つの料理を共有する際の直箸などでも感染する可能性が充分にあります。
このように自覚症状が少ないので気づかぬうちに人から人へ感染していることが多くあります。

2017年に厚生労働省が実施した「患者調査」によると、日本国内における歯周病の患者数は398万3000人にも上り、国民病とも言えるかもしれません。
また、ギネスブックで2001年に"地球的規模で蔓延している、人類史上最大の感染症"として認定されるなど世界的に見ても感染者数の多い疾患の一つです。

歯周病が様々な疾患を引き起こす!?

口内の細菌感染で引き起こされる歯周病ですが、炎症が進行していくと出血の症状が出始めます。出血をそのままにしておくと、歯垢は歯周ポケットの中に潜り込み、どんどんと歯周組織を破壊していき炎症を繰り返します。
この時、炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入ることや口の中のものを飲み込むことによって、様々な疾患の罹患リスクを高める原因となるのです。

心筋梗塞・狭心症

心筋梗塞・狭心症

心筋梗塞・狭心症は動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがったりしてしまい心筋に血液供給が行き届きづらくなり、死に至ることもある疾患です。動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因と考えられていましたが、最近では別の原因の一つとして歯周病原因菌などの細菌感染が注目されています。

歯周病原因菌が血管内に侵入し刺激する事によって、動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラークが発生し、血液の通り道は細くなります。その後、プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まったりして心筋梗塞や狭心症を引き起こす原因を生み出します。

脳梗塞

脳梗塞

脳梗塞は脳内の血管に頸動脈や心臓から血の塊やプラークが流れ込んでくることで脳の血管が詰まる病気のことを指します。
歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になりやすいと言われています。

血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療は、より重要となります。

糖尿病

歯周病は以前から、糖尿病の合併症の一つと言われてきました。実際、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人の割合が多いという疫学調査が複数報告されています。

最近では、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するということも判明してきました。すなわち、歯周病と糖尿病は、お互いに悪影響を及ぼしあっていると考えられるようになってきたのです。
また、歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。

まとめ

まとめ

上記で紹介した疾患の他にも歯周病は、膵がんのリスクや早産のリスクを高める事や、高齢者の死因で多い誤嚥性肺炎との関連性も高い事なども指摘されています。
多くの人が感染しているのにも関わらず、あまり気にせず放置しがちな歯周病に実は様々な疾患を引き起こす原因があるのです。

歯科医師は口腔内の変化をみる事のできるプロです。口腔ケアも自分一人できちんと行うのは難しいと言われています。少なくとも半年に一度は歯科検診を受け、毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し歯周病予防する事で全身の生活習慣病を予防していきましょう。

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