医師の診断を支える
「放射線技師」
医療現場のプロが目指す
患者様に寄り添う検査とは?
総合相模更生病院
放射線技師 虻川 瑠衣
がんの発見に欠かせない画像撮影の専門家「放射線技師」
最近、テレビドラマでも取り上げられる職業として話題の「放射線技師」。医療現場には欠かせない専門家であり、医師の診断や治療を支える大切な存在です。今回は、神奈川県相模原市の総合相模更生病院で活躍する放射線技師の方に、普段の職務内容や、取り扱うPET検査装置のご紹介、日々の職務への向き合い方についてお話を伺いました。
病気の早期発見に貢献したい…
きっかけは幼少期の体験から
―自己紹介をお願いします。
総合相模更生病院の放射線科(主任)診療放射線技師として勤めております、虻川瑠衣(あぶかわ るい)と申します。普段の職務では、放射線検査業務全般(一般撮影・CT・MRI・PET-CT・マンモグラフィ・透視)を担当しております。よろしくお願いします。
―放射線技師とは、どのようなお仕事ですか?
目指したきっかけを教えてください。
放射線技師の仕事は、放射線を用いて、レントゲンやCT等で体の内部の検査を行ったり、病気に対しての治療で放射線を人体に照射したりします。
私が放射線技師を目指したきっかけとしては、幼少期からやっていたサッカーで怪我した際に、レントゲン・CTを撮ってもらった体験からきています。中学生の頃から漠然と医療系の職に就きたいと思っていた中で、自身が検査を実際に受けた体験から、放射線技師とはどのような職業なのか興味を持ち始め、怪我や病気を調べる仕事だと知り、自分が病気を早期発見する人になりたいと思い目指しました。
患者様に寄り添い、安全かつ安心して受けていただける検査を第一に
―1日のスケジュールを教えてください。
出勤後は、まず初めに当日の担当検査の装置の準備を行います。その後、検査開始時間になりましたら、患者様の予約時間に合わせて順次検査を行っていきます。検査によっては、当日緊急で対応が必要な検査もありますので順次対応していきます。
また、検査の合間には、撮影した画像の再構成を行ったりしています。当日最後の検査が終了しましたら、再度画像処理や画像チェックを行っていきます。退勤前には、片付け・清掃を行い、残業当番に申し送りをして1日が終わります。
―日々の職務の中で、印象に残った体験を教えてください。
PET検査を担当した際に、全身に痛みがあり、寝て検査を受ける事が困難である患者様を担当させていただいたことがありました。その患者様から、検査が終わった後に「あなたが色々と配慮をしてくれたおかげで無事に検査を受ける事が出来ました。親切に接してくれてありがとう。」というお言葉を頂きました。
この時に私は、ただ検査をするのではなく、安全にかつ安心して検査を受けていただけるよう、患者様に寄り添う大切さを改めて実感することができ、日頃から心がけていて良かったなと思える体験でした。
「高性能な検査装置×院内製造の検査薬」
一人一人に最適な検査を提供
―PET検査装置は、どのようなものを使用していますか?
当院のPET検査では、SIEMENS社製の【Biograph Horizon】を使用しております。この装置の特徴として、腫瘍領域のみならず心臓、頭部領域においても高分解能なPET画像を描出し、高い再現性をもたらします。
PET-CT検査は、従来PET検査とCT画像を組み合わせた検査でありますが、この装置はPET画像のみであっても高分解能な画像を出力できるという特徴があります。
また、当装置には、以下の優れた技術を兼ね備えており、より綺麗な画像を提供することができるのが強みです。
① TOF(※1)技術により、患者様の体格に左右されることなく小さな病変を正確にとらえることができる。
② iMAR(※2)という金属アーチファクト低減機能もあり、インプラントや体内金属に対しても画像への影響を少なく抑えられる。
―その他、独自で行っている取り組みを教えてください。
当院の強みとして、薬剤製造システム(サイクロトロン)を導入しております。PET検査薬(18F-FDG)を院内で製造するため、患者様一人一人に最適な条件での検査が可能です。
また、地域のクリニック様や他施設様との連携を積極的に行っており、PET検査のみに限らず、他の検査のご依頼も承っております。とりわけ、画像診断部門では、日本医科大学付属病院放射線科と連携しており、核医学専門医による高品質な画像診断を提供しています。
<編集部注>
※1 TOFとは、光線が物体に反射して届くまでの時間を測ることで物体までの距離を正確に測る技術。
※2 iMARとは、体内に埋め込まれた金属などの影響で起こる画像のノイズを低減する機能。
患者様の立場に立った負担の少ない検査を目指し、早期発見を支えたい
―虻川さんが職務を行う上で一番大切にしていることは何ですか?
一番大切にしているのは、「患者様の立場に立って寄り添いながら検査を行う」ことです。
放射線科の検査の中には、30分程度と時間のかかる検査もあります。痛みがある患者様には、出来るだけ負担が少なく検査を受けていただけるよう、また、検査に支障ない程度で診断に必要な画像を得られるように工夫して検査を行うよう日々努めています。
―がん検診を受けるか悩まれている方に向けて、メッセージをお願いします。
PET検査は、検査中に痛みを伴うこともなく、1cm以下の小さながんの発見にも有効で一度で全身のがん等を調べることが出来るため、病気の早期発見に適しております。使用する薬剤もアレルギー反応や副作用についての報告もなく、安全性の高い検査になります。
また、当院では健診のPET検査にもいくつかコースがあり、PET検査に加えて、その他の検査(胸部CT・血液検査など)を同日に受けることも可能です。ご自身の健康維持の為にも、一度受けていただくことをお勧めいたします。
【インタビューを終えて】
病気の早期発見に向けて、医師や看護師以外にもたくさんの方が連携して検査を行っています。今回、医師の診断や治療に欠かせない検査を担う「放射線技師」の方のお話を聞くことで、早期発見の重要性や、がん検査の技術の進歩を改めて感じることができました。普段の健康維持を目的として早めの検査を受けることが、早期発見につながるんですね。
インタビューを受けてくれた方
総合相模更生病院
放射線科 主任
診療放射線技師
虻川 瑠衣
(あぶかわ るい)