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PET検査と放射線について(がん検査と基礎知識)

PET検査の被ばく量

PET検査の被ばく線量は、1回あたり約2.2mSv、多くても3.5mSvです。これは自然界で1年間に受ける放射線量と同等で人体にほとんど影響がないとされています。胃のX線検査(1回 4mSv)やCT検査(1回 8~20mSv)の被ばく量と比較するとかなり少ない被ばく線量といえます。

PET検査薬「FDG」と被ばく量(被曝線量)について

PET検査に用いる放射性検査薬「FDG」からは放射線(γ線)が放出されますので、検査を受けることで、わずかではありますが、被ばくします。
被ばく量はPET検査 1回で約2.2mSv、最大で3.5mSvとされています。体重に応じて体内に注入するFDGの量が異なるため、被ばく量は体の大きさにほぼ比例します。

しかし、その量は、地球上で普通に生活していて1年間に受ける放射線の量(1人あたり 年間 約1.19mSv(日本平均) 2.4mSv(世界平均))とほぼ同じか、多くても1.5倍と考えられ、PET検査による被ばくは、人体にほとんど影響がないと言われています。
さらにCT検査の被ばく量(1回 6.9~20mSv)と比べるとかなり少ない線量だといえます。

PET検査と放射線について

医療被ばくの基礎知識

PET検査のほか、同様に放射線を使った検査には、以下のものがあります。目安であり、体重や体質などによっても異なりますが、いずれも検知不可能なほど微量な差で、健康に影響はほとんどないとされています。

放射線を利用した検査の被ばく量の目安

  • 単純X線検査
    胸部 0.05mSv / 腹部 0.29mSv / 腰椎 0.60mSv / 骨盤・股関節 0.25mSv
  • X線透視検査(精密検査)全身 1回 0.6mSv
    上部消化管(胃・食道など) 1.20mSv / 下部消化管(大腸・小腸など) 2.00mSv
  • CT検査(コンピューター断層撮影法)全身 1回 6.9~20mSv
    頭部 0.59mSv / 胸部 6.9mSv / 上腹部 3.78mSv / 下腹部 7.13mSv / 全身 ~20mSv
  • ラジオアイソトープ検査(核医学検査・RI検査、PET検査など)
    骨シンチ(Tc-99 MDP) 5.6mSv / 心筋シンチ(Tl-201) 23mSv / 腫瘍シンチ(Ga) 12mSv
    FDG-PET検査 2.2mSv / FDG-PET-CT検査 3.5mSv(CT分の線量が追加される)
  • マンモグラフィ(乳腺撮影検査) 1回 0.05~0.15mSv
  • アンギオグラフィー(血管撮影検査)
    PCI(経皮的冠動脈インターベンション)など

これらの検査は、がん早期発見には欠かせない検査であり、いずれもPET検査同様、被ばくはごく微量で、人体に及ぼす影響はほとんどないとされています。

医師は「医療被ばくのリスク」と「放射線検査で得られるメリット(便益・ベネフィット)」を比べて、メリットの方が大きいと判断したうえで、検査を提案 しています。しかし最終的に検査を受けるかどうかは、患者さんご自身の決断になりますので、微量被ばくのリスクとがんの発見が遅れるリスクを比較した上で、検査を受けるか否か検討 しましょう。

一般的に、成人、特に高齢者は、放射線の影響を受けにくいと言われており、がん発症リスクが高いとされる40歳以上の人は、がん検査を積極的に受けて、早期発見することが大切だと言われています。

一方、子どもは放射線の影響を受けやすいとされ、不要な検査を何度も受けることは避けた方がよいと言われています。

いずれの場合も、医師や検査機関から精密検査を勧められている場合は、がんやその他病気を早期発見・早期治療するために、速やかに検査を受けることをお勧めします。

放射線に関する基礎知識

■放射能と放射線

「放射線」は、光の仲間です。放射線を出す能力を「放射能」といい、放射線を出す物質を「放射性物質」といいます。
放射線にもさまざまな種類があり、その種類によって性質も異なります。

■人体への影響を測る単位「Sv」(シーベルト)

放射線量の人体への影響を表す単位です。放射線を受けることを「被ばく」といい、受けた放射線の量を「被ばく線量」といいます。シーベルトは、この被ばく線量の単位です。

■人体に吸収される放射線量「Gy」(グレイ)

吸収線量を示す単位で、ある物質に照射吸収される放射線のエネルギー量を表すします。人体ではおもに皮膚表面での入射線量を指すことが多いようです。

■放射能を測る単位「Bq」(ベクレル)

放射線を出す能力、放射能を表す単位です。時間(半減期)にともなって減少していきます。

■医療現場での放射線

医療現場で診断に使われるレントゲン撮影や、CTスキャンなどのX線で生まれる放射線のことを人工放射線といいます。

これらは、人体への影響を心配する必要がない ‟放射線量の目標値‟ が国際放射線防護委員会(ICRP)によって勧告され、日本もこれを受けて法律で定めています。

■等価線量と実効線量

医療被ばく線量について提示される「Sv」(シーベルト)と「Gy(グレイ)」はおおよそイコールと考えて問題ありませんが、厳密には以下のような関係になっています。

等価線量と実効線量の計算

まとめ

放射線は受けないに越したことはないものの、現在の医療においては放射線検査が非常に有意義ながん検査方法であることもまた事実です。がんの早期発見は、闘病の負担を減らして生存率を高めるというメリットがあります。重大な疾病であっても、早く見つけてすぐに治療を始めることで、助かるケースや予後良好につながるケースが増えています。
前述の通り、PET検査は他の検査方法に比べて被ばく量も非常に少なく、人体への影響はほぼないとされています。医療被ばくのリスク」が気になる方も多いようですが、「放射線検査で得られるメリット(便益・ベネフィット)」が非常に大きいため、妊娠予定などの理由から微量でも気になるという方は、医師にご相談のうえ検討してみるとよいでしょう。