PET-CTとは
PET-CTとは、PETとCTの画像を同時に撮影することができる機器および検査方法です。
PET(機能画像)とCT(形態画像)の特長を融合することで、お互いの弱点を補い合い、より精度の高い検査画像を得ることができます。
近年はPET単体よりPET-CTを導入する施設が増えており、PET検査と記載されていてもPET-CTを指す場合もあります。
PET-CTのメリット・利点
PET-CTは、PET(機能画像)とCT(形態画像)の画像を同時に撮影することができるため、PET単体の検査に比べて以下のような利点が挙げられます。
- PETとCTの融合による精度の高い診断
臓器の姿を精細に描写できるCT画像に、細胞の悪性度を描写できるPET画像を重ねることで、より見やすく精度の高いPET検査が行なえます。PETだけでは判別しにくい、がん細胞の位置や腫瘍の形状、サイズ、どの臓器に接した部位か、などを、特定しやすくなります。
- 検査時間が短縮される
一度にPETとCTが撮影できるので、CTとPETを別々で撮影する場合に比べ、検査時間が短縮できます。
学会誌でもPET-CTの有用性を示した論文は数多く掲載されており、その実績は年々増えています。
さらに進化したPET-CT
- 圧迫感の軽減
PET-CTは、PETとCT両方のガントリー(本体トンネル状の空間・カメラ部分)が並ぶため、PET単体やCT単体と比べて、トンネルが長く、狭い空間にいる時間が長くなり、狭い場所が苦手な方には少しつらく感じるというデメリットがありました。
しかしながら近年は性能の向上により、ガントリ―(本体トンネル状の空間・カメラ部分)の奥行きが薄くなっていて、検査中に感じる圧迫感が軽減されています。これにより閉所や狭い場所が苦手な方の心理的負担もだんだんとなくなっています。 - 吸収補正機能搭載で体動によるブレが起こりにくい
PETやCTは数十分かけて撮影するため、呼吸や心拍(体動)によって常に内蔵の形が変化してしまうという問題があり、画像のブレや腫瘍サイズ・位置の誤認の原因となっていました。そのため従来はマーカーを受診者さんの体の表面に装着して、呼吸センサーで体動を記録し、そのデータをもとに画像データを補正しながら診断をしていました。
しかし最新のPET-CTは呼吸の自動補正(呼吸同期)機能が搭載され、画像ブレがさらに起こりにくくなり、より精度の高い診断が可能になってきました。 - 3D画像処理能力の向上により、撮り直しせずに別の角度も確認できる
3Dの解析処理能力もここ数年で飛躍的に向上し、一度撮影した画像データから、様々な角度の断面を表示させることができるようになりました。
MPR画像(multi planer reconstruction=多断面再構成法)や、MIP画像(maximum intensity projection=最大値投影法)などのスライス撮影で得られた立体的なデジタルデータそのものを保管することができ、後から、別の角度で断面を生成したり、見たい部分にフォーカスして画面を表示、例えば内臓をコンピューター上でくるくる回して見るなど、多面的に確認することができるようになりました。
PET-MRIも登場
さらに近年は、PETとMRI(核磁気共鳴画像法)を組み合わせたPET-MRIが登場し、がんや幅広い疾患の検査に関して選択肢が広がっています。
PET-CTの症例画像
実際にPET-CTで撮影された、がん検査の画像をご紹介します。
※情報提供:医療法人財団岩井医療財団 メディチェック画像診断センター
【ケース①】PET-CT画像が有効であった例「乳がん」
胸部にゴルフボール大のmass(塊)が見つかった42歳女性。2002年3月の乳腺腫瘤摘出、同年11月、右胸壁への再発あり。CT、胸部X線写真は陰性、生検結果は陽性であった。
乳房切除術後、2ヶ月間の放射線治療を施行。
ステージング(進行度の調査)目的のため、PET-CT検査を行ったところ、縦隔と右肺へのFDG(PET検査薬)集積がみられ、転移が示唆された。
【ケース②】PET-CTで目的部位以外の異常がみつかった例「肺がん・転移性肝がん・転移性脊椎腫瘍など」
44歳女性 非小細胞癌(StageⅢb)例で、進行が進んでいる。
再ステージングのためPET検査を施行。右主気管支近位へ集積があり、腫瘍再発部位と一致した。さらにPET-CT画像から、複数の肝転移と椎骨(L4)への集積も同時にみつかった。
【ケース③】PET-CTで診断に変更があった例
61歳女性。長期の喫煙歴があり、慢性閉塞性肺疾患または気腫、およびGERD(胃食道逆流症)を患う。CT画像では注目する部位への異常がみられる。生検では診断つかず、リンパ節転移の確認のためPET検査を施行。
PET-CT画像。左上葉のFDG集積異常のサイズは、以前のCT検査画像に比較して縮小がみられた。右下葉の集積は進行がみられた。
これらの急速は変化は、新生物による集積ではなく、炎症か呼吸の影響によるものと考えられた。
こちらの内容は参考としての症例であり、発見の確実性を示すものではありません。
症例には個人差があるため、詳しくは健診センター、病院までお問い合わせください。
※米国 GE社 PET-CT「Discovery ST」による