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がん患者さんの健康保険について(がん検査と基礎知識)

がんの診断や治療は日進月歩

がんは「治る病気」

日本人で2人に1人がかかるといわれている「がん」は、3人に1人が亡くなるとも言われており、ポピュラーな病気といえます。わが国の新規がん罹患患者数は年間約100万人もの人数となっています。そしてがんは、体全体のあらゆる場所に発生する可能性があるのです。

しかし、がんは「治る病気」ということがいえます。国立がん研究センターが発表した資料によれば、2007年~2009年にがんと診断された方のうち、実に7割近く(68%)が5年以上生存されており、2001年~2004年にがんと診断された方のうち、ステージ1では81%、ステージ2でも68%の方が10年以上生存されているというデータが出ています。

さらにがんの診断や治療は日進月歩で進んでいます。このデータのもとになった時点から現在まで約15年を経過していますから、がんと診断された方にとっては、もっと良い治療成績が見込めると思います。

治療前後に役立つPET-CT検査

がん診療が健康保険に適応

PET(PET-CT)検査は2002年以降、がん診療について健康保険の適応になっています。近年、保険適用疾患としてPET(FDG-PET)検査*は9割以上でがん患者さんのために使われています。

【FDG-PET検査(保険適用内)を実施されることが多いがん】
肺がん、悪性リンパ腫、頭頸部がん、乳がん、大腸がん、食道がん、子宮がん、胃がん(早期がんを除く)、膵がん、卵巣がん、甲状腺がん、胆のう・胆管がん など

【FDG-PET検査(保険適用内)を実施されることが多いがん】

*FDGは、1978年に井戸達雄らによって開発されたPETで使われているがん細胞に集まる性質をもつ薬剤。FDG-PET検査は、FDGを使ったPET検査のことです。

がんという「敵」 の位置や大きさ、性質を知る

さらにPET(PET-CT)検査の特徴として従来は調べることが難しかった臓器も含めて複数の臓器を同時に調べることができるため、がん以外にも経過をみていくために注意が必要とされる良性疾患が検査によって見つかる場合もあるのです。

病気の治療前、治療後のいずれのシーンでも役立つPET-CT検査は、がんという「敵」の位置や大きさ、性質を知る助けとなる非常に有用なツールといえます。PET-CTで敵をとらえ、ご自身の全身状態や環境、まわりの方々のサポートを整えて、大変ではありますがこれからのたたかいに備えてください。

監修:元神奈川県立がんセンター核医学科 部長 大竹英二先生