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その他のがん検査 - CT検査(がん検査と基礎知識)

一度の撮影で全身のがんをチェックできるというPET検査ですが、より精度の高い診断を得るためには、ほかの検査方法を併用することが有効です。
このページでは、PETとは異なる手法でがんを探す、 CT検査の対象部位や検査方法、メリット・デメリットについて解説します。なおPET-CTであれば、PETとCTの検査を同時に受けることができ、精細な画像が得られます。

CT検査(コンピュータ断層撮影法、CTスキャン)Computed Tomography

対象部位:全身

CT画像

CT(シーティー)検査はX線を使って撮影するので原理はレントゲンと似ています。しかしCTは物体を輪切り(スライス)状に撮影して、精細な3次元の画像(3D画像)を得ることができます。
そして撮影されたデータをコンピュータで合成することで、疑似的に患部を再現できるのが大きな強みです。

CT画像

近年は画面上に患部を取り出したように表示させ、ぐるりと回して裏側や内部を観察したり、気になる位置でスパッと切って切断面を表示したりすることも自由にできるようになりました。

CT検査の装置

CT画像

CTの検査機器はPET検査機器と似ており、ドーナツ状のガントリ(カメラ)内部を、ベッドに横になった状態でゆっくり通り抜けながら、体の断面画像を数百~数千枚も撮影されていきます。

CT検査ができる施設は全国に増えており、あらゆる診断や治療で多く用いられています。

PETと組み合わせて活躍

さらに現在はCT単体だけでなく、PETとCTの画像を後で融合する「PET-CTフュージョン」や、PETとCTを同時に撮影して1つの画像として表示する「PET-CT」も一般的になってきました。
CTは組織の見た目を鮮明に描くことができる形状画像ですが、PETは細胞の性質を映し出す機能画像なので、双方を合わせるPET-CTは、細胞を形状と機能から診断することができ、より精度の高い診断ができるようになりました。

造影剤を投与する場合がある

CT画像

造影CTの場合は、造影剤を点滴で静脈に注入し、体内に循環させた状態でCTを撮影します。一般的にはヨード造影剤とよばれるものが用いられ、アレルギーのある方は受けられません。造影剤を用いることでより精細なCT画像が得られ、ごく小さい病変も描出できるようになります。

CT検査のメリット

  • 精細な画像で死角がほとんどなく、体内をしっかりチェックできる
    最新の検査機器は1ミリ単位で撮影が可能とされ、小さな病変もキャッチしやすいとされています。
  • 一度の撮影で全身を見ることが可能
    体の一部だけの撮影もできますが、がん検診では全身を撮影します。広範囲を検査することで、気になっていた部分以外からも、病変が見つかるというケースもしばしば見受けられます。
  • 検査に苦痛がない
    ベッドに寝ているだけで撮影が終わります。光や圧迫などの負荷、検査機器を体内に挿入する必要もなく、注射や切除による痛みもありません。ごくまれに、撮影中に体が動かないようにベルトで軽く固定されることがありますが痛みを感じるほどではありません。
  • 撮影時間が早い
    ここ数十年で飛躍的に効率がよくなり、全身を3~30秒で撮影できるようになりました。
  • MRI禁忌の方も受診できる
    ペースメーカーなどによりMRIを受けられない方でも、CTで代用することができます。

CT検査のデメリット

  • X線を用いるため被ばくする、また単純X線より被ばく量が多い
    多面的に撮影するため単純X線(一般的なレントゲン)より被ばく量が多くなります。
  • 見ため(形状)のみによる診断なので、腫瘍の悪性度は判断できない
    腫瘍やポリープがあることがわかっても、それが良性か悪性かの判断はできません。
  • 検査機器が高額で、受診可能な医療機関が限られる
    検査機器(マシン本体)が非常に高価なうえ、機器のサイズそのものが大きく、設置するための広い検査室も必要になります。そのため、受診できるのは総合病院や大規模の健診センターなど、ある程度の大きな医療機関に限られます。
  • 検査費用が比較的高い
    上記の理由により、部位や撮影範囲にもよりますが、保険適用の3割負担でも3,000~5,000円ほどかかるとされています。ただしPETの検査費用と比較すれば低価格です。
  • 検査データが膨大で、解析に時間がかかる
    一度の撮影で数十~数千枚の画像データが得られますが、その画像を融合したり、診断医が目視で確認するという作業が必要になります。そのため、撮影後の診断に時間がかかります。
  • 診断には画像診断医の解析技術が不可欠
    得られたデータや画像から病変を見つけたり、疾患の可能性を診断したりするのが「画像診断医」と言われる専門医師です。近年はAIなどを併用することで、より見落としのリスクが少ない高精度の診断を、スピーディに行えるようになってきました。