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その他のがん検査 - MRI検査(がん検査と基礎知識)

一度の撮影で全身のがんをチェックできるというPET検査ですが、より精度の高い診断を得るためには、ほかの検査方法を併用することが有効です。このページでは、PETとは異なる手法でがんを探す、 MRI検査の対象部位や検査方法、メリット・デメリットについて解説します。 なおPET-MRIであれば、PETとMRIの検査を同時に受けることができ、精細な画像が得られます。

MRI検査

磁気共鳴画像、DWIBS、ドゥイブス

対象部位:全身

MRI画像

MRI(エムアールアイ/Magnetic Resonance Imagingの略)とは強力な磁場と電波を利用して体内の状態を撮影する検査法です。体内の磁気に対する共鳴作用を利用しています。
放射線を使わないので、被ばくの心配がありません。
姿勢を変えることなく、体のいろいろな部分を縦、横、斜めなどあらゆる角度の断面像を得ることができ、がんの位置を把握するのに有効です。

骨盤部や頭部の診断に優れており、がん検査以外では脳の検査にも利用されています。 所要時間は検査範囲によって異なります。

MRI検査の装置

MRI画像

MRIの検査機器はPETやCTと似ており、ドーナツ状のガントリ(カメラ)内部を、ベッドに横になった状態でゆっくり通り抜けながら、体の断面画像を数十~数千枚も撮影されていきます。

MRI検査ができる施設は全国に増えていますが、CTより導入施設が少ない傾向にあります。

MRA(造影MRI)とは

MRI画像

検査内容によっては、より精細な画像を得るために造影剤を用いる場合があります。造影剤は主にガドリニウム製剤ですが、これは腎機能が低下している方や、喘息・アレルギー体質の方、授乳中の方などには使用できないため、事前に確認をします。

MRI検査のメリット

  • X線を用いないため被ばくのリスクがない
    放射線を使わないので、CTやPET、X線検査のような被ばくの心配もありません。
  • 軟部組織や神経系の撮影に優れている
    CT検査やPET検査では判別しにくい、筋肉、靭帯、脳神経系、腫瘍などの軟部組織や神経系の撮影に適しています。
  • 検査に苦痛がない
    基本的にはレントゲン同様、肉体的な負担がかからない状態で撮影をします。造影剤を用いる場合のみ点滴をしますが、それ以外の痛みはありません。
  • 部位によっては食事制限がない
    PETと異なり、絶食しておく必要がありません。ただし、造影剤を用いる場合は、副作用による嘔吐が起きた場合、嘔吐物による呼吸困難等を防ぐために絶食します。

MRI検査のデメリット

  • 体内に金属がある方は受けられない
    強い磁気が体に当たるため、磁力を通す金属が体内にあって取り外しできない方は、MRI検査できないことがあります。
    ・体内に金属プレートや心臓ペースメーカーなどの電子機器を装着されている方
    ・金属色素を用いたタトゥー(刺青)やアートメイクがある方
    ・取り外しのできない金属アクセサリーを装着している方
    なお、頭部の撮影をする場合に、歯科治療のかぶせ物などで用いられる金属は、種類によって画像の乱れなどの悪影響があるとされています。しかし近年はMRI装置の性能が向上し、多少の金属であれば問題ないとされることもあります。該当する方はまずは検査機関までご相談ください。
  • 検査中に大きな音がする
    断続的に大きな音が鳴り続けます。MRI機器の種類によって、音の大きさが異なります。
  • 妊娠初期の方は検査できない
    被ばくはありませんが、念のため妊娠初期の方は検査を控えます。しかし医師の判断によっては緊急性を重視して実施する場合もあります。妊娠中の方は必ず事前に医師にお伝えください。
  • 検査費用が比較的高い
    上記の理由により、部位や撮影範囲にもよりますが、保険適用の3割負担でも3,000~5,000円ほどかかるとされています。ただしPETの検査費用と比較すれば低価格です。
  • 胃や腸などの動く部位の検査には適さない
    これらの部位の診断には他の検査を併用します。
  • 診断には画像診断医の解析技術が不可欠
    PETやCTと同様に、得られたデータや画像から病変を見つけたり、疾患の可能性を診断したりする専門医師「画像診断医」の知見や技術が必要です。近年はAIなどを併用することで、より見落としのリスクが少ない高精度の診断を、スピーディに行えるようになってきました。

PETみたいなMRI!? 新技術 DWIBS(ドゥイブス)とは

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