一度の撮影で全身のがんをチェックできるというPET検査ですが、より精度の高い診断を得るためには、ほかの検査方法を併用することが有効です。
このページでは、PETとは異なる手法でがんを探す、超音波(エコー)検査の対象部位や検査方法、メリット・デメリットについて解説します。
超音波検査(エコー)Ultrasonography
対象部位:肝・胆・膵・腎・脾、子宮・卵巣、乳房、甲状腺、など全身
弱い超音波(人間には聞き取れない高い周波数の音)を体に当てて、臓器や組織にぶつかってできる反射波を画像化することによって診断する検査方法です。
人体に無害で、放射線の被ばくや、検査による痛みなどもほとんどないと言われています。
がん検診では乳房、甲状腺、腹部・骨盤部(内臓)などで広く使われています。
ただし、超音波は骨や空気を通りにくいので、脳や肺、胃、腸などの検査には、あまり適していません。
超音波の検査方法
皮膚の上からプローブ(カメラとなる端子)をあてて、モニター画像で組織内部の様子を観察します。プローブに専用ジェルを塗布することで、皮膚と密着させてより鮮明な画像を得られます。
超音波検査のメリット
- 被ばくや副作用がない
放射線や電磁波、造影剤、麻酔などを一切使用しないため、被ばくや副作用のリスクがありません。 - 妊婦や乳幼児も受けられる
上記の理由からレントゲン・CT・MRIなどが禁忌の方、妊婦・胎児・乳幼児、高齢者など、幅広い方が受けられます。 - 非侵襲で検査に苦痛がない
注射などが不要なうえ、検査で使用するプローブは体にフィットするやさしい形状で、押し当てても痛みはありません。(ただし膣内や肛門などの検査では、個人によって挿入時の痛みを感じる場合もあります。) - 撮影時間が早く、検査費も安く、どこでも受けられる
一般診療であれば診察時に、その場で実施することができ、準備も、検査そのものも、数分で完了します。検査する場所を選ばないため、診療室で衣類を着たまま検査でき、多くの医療機関で受けることができます。CTなどと比較すれば検査費用も圧倒的に少なくて済みます。 - 臓器の動きをリアルタイムで確認することができる
心臓や弁など臓器が動いている様子を、その場で観察することができます。動画を録画して比較することもできます。 - 内臓や軟組織の観察に適している
液体や固形はよく通るため、内臓、筋肉、脂肪などの組織を見るのに適しています。 - 4Dで再現できるタイプも
妊婦健診に用いられる機器では、胎児の姿を立体的に描出できる4Dタイプが増えています。胎児の内臓の様子だけでなく、表情やしぐさを撮影することもできます。
超音波検査のデメリット
- 画像診断のため、腫瘍の悪性度が判断できない
組織の密度の違いなどを見分けることができますが、それが悪性なのかは精密検査をしないと判別しません。 - 脳や肺の検査には適さない
超音波は、骨や空気があると、そこから先を見ることができないため、脳や肺の検査には使用されません。 - 検者(臨床検査技師や医師)の技術が必要
見落としを防ぐために、検査をする臨床検査技師や医師に、知識や経験などの技術が不可欠です。
がん検査 一覧
◆画像診断◇X線(レントゲン)
・胸部X線
・胃X線(バリウム検査)
・乳房X線(マンモグラフィ)
◇血管造影
◇シンチグラフィ
◇PET / PET-CT / PET-MRI / 乳房PET
◇CT
◇MRI / DWIBS(ドゥイブス)
◇超音波(エコー)
◆内視鏡
・胃カメラ / 大腸カメラ
・カプセル内視鏡 / 腹腔鏡・胸腔鏡
◆生化学検査
・腫瘍マーカー、血液検査
・マイクロRNA(miRNA)検査
・病理診断(生検、細胞診)
・便潜血検査 / 尿検査
◆ウイルス検査
・ピロリ菌 / EBウイルス
・肝炎ウイルス / HPV / HTLV-1
◆生物診断
・線虫がん検査
◆視診・触診・問診