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その他のがん検査 - X線検査 - レントゲン、バリウム、マンモグラフィ(がん検査と基礎知識)

一度の撮影で全身のがんをチェックできるというPET検査ですが、より精度の高い診断を得るためには、ほかの検査方法を併用することが有効です。このページでは、PETとは異なる手法でがんを探す、 X線検査(レントゲン、バリウム検査、マンモグラフィ)の対象部位や検査方法、メリット・デメリットについて解説します。

もくじ

X線検査とは
 ・胸部X線  ・胃X線(バリウム検査)
 ・乳房X線(マンモグラフィ)

X線検査 X-ray inspection

レントゲン、バリウム検査、マンモグラフィ、単純X線

対象部位:骨、肺、胃、大腸、乳房など

レントゲン

X線とよばれる放射線を当て、体を外側から撮影する方法です。空気は黒く、骨や固いものは白く映し出されます。 様々な角度から観察するために、体勢や体の向きを変えてながら、何度か撮影することもあります。金属も映し出されてしまうため、取り外し可能なものは撮影前に取り除きます。
バリウムなどの造影剤を用いることで、消化器などの内臓もより鮮明に撮影することができます。

X線検査のメリット

  • 被ばく量が少ない
    CTと比較すると、被ばく量は少なめです。
  • 着衣のまま、短時間で検査でき、苦痛もない
    撮影する部位によっては外側から押したり、難しい体勢をとることがありますが、痛みというほどのことはありません。
  • 簡便で検査費用も安く、ほぼすべての医療機関で受けられる
    導入している医療機関が多く、予約なくすぐに撮影できることが多いようです。

X線検査のデメリット

  • 白黒の平面画像のため、特定には二次検査が必要
    撮影される画像は白黒で、しかも密度の濃さだけで描画されるので、疑わしい部位が影でしか判断できず、他の二次検査を受ける必要があります。
  • 画像診断医の経験や診断技術が必要
    他の画像診断と同様に、異常かどうかを見極める専門医師や的確な角度で撮影する技師の技術が不可欠です。
  • 擬陽性が生じやすい
    一方向から照射するだけなので、画像に死角が生じて見えない部位ができます。その結果、偽陰性(病変の見落とし)や、擬陽性(疑わしく見える部位が検出されたが、実際には異常なしのケース)が起こりやすくなります。 また擬陽性が出るたびに、侵襲的検査(細胞を採取する生体検査や気管支鏡など)を受けると患者さんの苦痛や負担になってしまいます。
  • ミリ単位の判別がつきにくい
    体動によるブレが起こりやすく、内臓などの柔らかい組織で1~2ミリの誤差を検知するのは難しいとされています。
  • 小さい(2センチ未満)がんは検出が難しい
    小さいがん、形状が不明瞭ながんを見つけにくいとされています。

胸部X線検査 chest X-ray

対象部位:肺、心臓、横隔膜、気管支

胸部X線検査

大きく息を吸って肺を膨らませ、呼吸を2~3秒間止めて撮影します。スクリーニング検査として、正常とは異なる部分がないかを幅広くチェックします。肺がんのほか、肺の異常(肺結核、肺炎、気管支炎、肺気腫、気胸、胸膜炎、肺線維症)や誤嚥物、心臓の異常(心臓病・心肥大・胸部大動脈瘤、心臓腫瘍)の可能性が見つかることが多いようです。異常と思われる箇所が見つかったら、多くの場合は別の方法で精密検査をして病名を確定することになります。着衣のまま立って行い、撮影自体は数秒で終わるので、スピーディに完了します。また撮影範囲が小さいため、X線の被ばく量も少ないです。

胃X線検査(バリウム検査・上部消化管造影検査)

対象部位:食道、胃、十二指腸

バリウム検査・上部消化管造影検査

バリウムとよばれる液状の造影剤と発泡剤を一緒に飲み、胃の内部を膨らませて、胃壁に造影剤を密着させ、様々な角度から撮影します。発泡剤の働きにより胃の中に空気が大量に貯まりますが、この空気を逃がさないようげっぷを出さないようにがまんする必要があります。さらに胃壁に均等に造影剤を塗布するために、検査台のうえで激しく体勢を変えたり、台が上下動いた状態で複数の角度から撮影を行います。
検査終了後は、バリウムによって便秘になりやすくなるので、多めに水を飲み下剤を服用し、バリウムを早く排出できるよう促します。
バリウムが粘膜の表面を滑り落ちていく様子を観察することで、胃の内部のポリープ、炎症による隆起や陥凹、食道や十二指腸の狭くなっている部分などを探すことができます。

バリウム検査が苦手とされる理由は様々ですが、おいしくないバリウムを大量に飲むのがつらい、口の周りにねっとりと白く残る、げっぷを我慢するのがつらい、台の上で激しく動くことで気分が悪くなる、検査後に便秘がちで腹痛になってしまう、…などの理由からバリウム検査を苦痛に感じる方もいるようです。 まれにバリウムにアレルギーのある方がいますので、アレルギー体質の方はあらかじめお伝えください。

マンモグラフィ(乳房X線検査)Mammography

対象部位:乳房

マンモグラフィ

乳房専用のX線検査です。乳房を板状の台のうえで上下から挟んで平たくして、X線で撮影します。
マンモグラフィの登場によって乳がんの早期発見率が高くなったといわれています。
人によっては、乳房を挟まれてかなり痛い、乳房周辺の皮が引き攣れてつらい、と苦痛を感じる方もいるようです。放射線を使うため、妊娠中やその疑いがある時は検査できません。エコー(超音波)検査と比べて石灰化は検出しやすいとされています。また常に同じ向きから撮影するため、過去の画像と比較しやすく、変化を把握することに長けています。

マンモグラフィ

石灰化とは
がん細胞が増殖して大きくなると、中心部まで栄養が届かずに細胞が壊死しますが、死んだがん細胞の周りにカルシウムが沈着し、石灰化が起こります。ただし、見つかった石灰化がすべてがん細胞というわけではなく、実際に乳がんと診断されるのは石灰化の2割程度といわれています。

マンモグラフィのメリット

  • 乳房を均一に撮影することで、乳腺の全体像をとらえやすい
    石灰化の分布などを把握できます。
  • 乳がん以外の疾患も見つけられる
    「マンモグラフィといえば乳がん」というイメージですが、乳腺症などの異常が見つかることがあります。
  • 同じ角度から撮影するため過去データと比較しやすい
    要経過観察の部位をマークしたり、異常が見つかった場合に過去のデータをさかのぼって比較しやすいです。

マンモグラフィのデメリット

  • 高濃度乳腺(デンスブレスト)は診断しにくい
    他のレントゲン同様にマンモグラフィもX線検査なので、密度の高い(硬い)組織は白く、密度の低い(柔らかい)組織は黒く映ります。しかし乳腺もしこりも、同じように硬い組織なので、判別が紛らわしくなることがあります。

乳腺濃度のうち(1)脂肪性(2)乳腺散在タイプは診断しやすいのですが、(3)不均一高濃度(4)高濃度の乳腺は病変と紛らわしく、診断しにくいとされています。
そのため高濃度乳腺(デンスブレスト)の方の乳がん検査には、乳房専用PETやエコー(超音波)が適しているといえます。

乳房専用PET

近年注目されているのが、乳がん検診に特化した乳房専用PETです。マンモグラフィは組織の密度からがんを探りますが、乳房専用PETは細胞の悪性度からがんを探るため、マンモグラフィでは診断しにくい高濃度乳腺(デンスブレスト)の方のがん検査にも役立ちます。

乳がん専用PET